「うらよみ演劇用語辞典」・めちゃくちゃ面白いと思うのですが・・・
この本を最初に読んだのは、多分十年以上前だと思います。
確か図書館で借りたもの。
初版は2003年ですから2021年時点で18年前ですか。
もう少し古い本のような印象がありますが・・・。
(内容が古い訳ではありません。なんというか、本に、風格のようなものを感じてしまうので。)
劇作家別役実さんの著書になります。
個人的にはもうめちゃくちゃ面白い、と思い再読を繰り返しているのですが、
そう感じるのは管理人が演劇をする人間だからじゃないか、と思うと
無邪気にオススメしていいかどうか若干ためらいます。
でもね。それ抜きにもやっぱり面白い本だと思うんですよ。
なにせ文章が大変ふるっているのです。
それに、帯にも
「演劇ファンも、嫌いな人もナンセンス語釈に一驚!」
と書いてあるとおり、演劇なさらない方にも楽しく読んでいただけるのではと思います。
75項目の演劇用語を「解説」
本の帯には続いて
「75項目の演劇用語から浮かび上がる人間悲喜劇」
とあります。
そのとおりこれは、いわゆる演劇用語をひとつひとつ取り上げて、
それについての短文で「解説」している、
書名どおり辞典形式の本になっています。
演劇用語と言っても、「専門的」なものから一般的なものまでさまざまです。
例を上げると、
「リアリズム演劇」「異化効果」から
「演出家」「劇作家」「ロビー」「楽屋」「声がかかる」、
果ては「ポスター」「チラシ」「煙草」「帰り道」まで・・・。
そしてそれを「解説」しているのが「名戯文」です。
ひねりの効いた端正な「面白い」文章。
演劇経験者や観劇なさる方は思わずニヤリ、かと思われますし、
そうでなくても、この「ずらし」にはやっぱりニヤリ、じゃないかと思います。
別役さんらしいな、とふと思ってしまいますが、その「らしさ」がどのようなものかと言うと、
先程も書いた「ずらし」ではないでしょうか。
「本当のこと」を論理的に飛躍せず書いていくのにそれが不思議な「ずれ(意図された)」を含んでいる。
そのため、最後には「え、そこ?」というところに行き着くのですが、
しかしその「そこ」がまた「本当のこと」を言い当てているという、
よく出来たマジックのような文章が散見されます。
頭のいい人が書いてるなあ、という感じ。
そして「笑わせる」。
これが「諧謔」というものでしょう。
絶版のようではありますが。
この本はすでに絶版かと思われます。
管理人も、数年前に中古で手に入れましたが、
コンディション今ひとつなものだったのがちょっぴり残念
(中身はきれいでしたし帯もありましたけど。表紙と帯のヤケがすごくて・笑)。
もう一冊くらい今度はコンディションにこだわって買ってみようかと思っています。
古書店や図書館などでこの本を見掛けたらパラッと読んでみてください。
と、どうしてもお勧めしたくなるお気に入りの一冊です。
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