「ポワロと私」デビッド・スーシェ自伝・テレビドラマ版ファンに嬉しい一冊
日本ではNHKで放送されていた、テレビドラマ版ポワロのシリーズがとても好きでした。
スタイリッシュなオープニングは今もお気に入りで、YouTubeで時々見たりしています。
この本はテレビドラマ版で四半世紀にわたりエルキュール・ポワロを演じていた
デビッド・スーシェの、主にポワロを演じていた期間に関する自伝です。
撮影したほぼ全ての作品についてひとつひとつエピソードが記されていて、読み終わった時には、全作品を見なくっちゃ、という気持ちになりました。
エルキュール・ポワロ
エルキュール・ポワロは、ミステリの女王アガサ・クリスティが生んだベルギー人の名探偵です。
短編・長編合わせて多くの作品に登場し、シャーロック・ホームズと並び称される人気を誇っています。
ポワロが探偵役を務める作品は多く映画化もされていますしテレビ映画にもなっています。
そしてクリスティの本国イギリスで、一連のテレビドラマシリーズが作成され、世界中に配給されました。そのドラマシリーズでポワロ役を演じ続けたのがデビッド・スーシェです。
他にポワロ役で有名な俳優さんに、
ケネス・ブラナー、ピーター・ユスチノフなどがいますね。
ユスチノフの「ナイル殺人事件」好きだったなあ。
この本の冒頭には、カラーでテレビシリーズに関するいくつもの写真が掲載されており、
そこでまずテレビシリーズファンには「ぐっと」来ます(笑)。
本書は序章としてスーシェが「ポワロ最後の事件」つまりポワロの死のシーンを撮影した日のことを綴るところから始まります。
以降、最初にスーシェがポワロ役のオファーを受けた時のことから時系列順に自伝は続きます。
ポワロ最後の事件「カーテン」の回はまだ見ていないのですが・・・見なきゃ!
あの重厚な作品、あの場面をスーシェがどう演じたのか、ものすごく興味があります。
デビッド・スーシェ
シェイクスピア俳優であるスーシェがポワロ役をやらないかと言われた時にどう思ったか。
当時ポワロという役はどう思われていたか。
ある一面、ポワロは「滑稽なキャラクター」と受け取られるところもあったようですね
(個人的にこれはびっくり!)。
しかしスーシェはけしてそうではない、と考えたようです。
ポワロの魅力、高潔さ、深い人間性、そういうものをリアルに表現することに心を砕いていらしたよう。
そのあたりのことが、全編を貫いて、強く訴えられています。
スーシェがいかにポワロと真摯に真剣に向き合っていたか。
その姿勢、考え方が実に丁寧に語られていて、スーシェがどれほどポワロ役に精魂込めていたか伝わり、感動を覚えます。
帯にも書いてありましたが、これぞ「俳優魂」だなあ。
そして、クリスティのほぼ全てのポワロ作品を映像化し尽くしたと言われるこのテレビシリーズの
ほとんどの作品について、ひとつひとつスーシェの短い解説やエピソード紹介が記されており、
それを読みながら、
これはテレビシリーズの全作品を、原作と合わせて観るしかない!と思いました。
もちろんこの本を傍らに置きながら。
(テレビシリーズはNHKで散発的に放映されるものを、見られる範囲で見ているだけですから、
見ていないものの方が多いんじゃないかな、わたしは。)
ちなみにアマゾンプライムで作品が見られますが、現在有料になるようです。
テレビシリーズを四半世紀も続ける間には紆余曲折もあったようで、
それら舞台裏についても、この自伝では書かれています。
そしてその間ポワロ役の他に(あるいはポワロの撮影と並行しながら)
スーシェが出演した数々の作品(舞台作品も)についても記述があります。
すごい、忙しい(笑)。
わたしは芝居もやりますので、この、
俳優としてのキャリア、働きぶり、わくわくしてしまいます。
そしてそれら作品もどれも魅力的!
是非観てみたいのですが・・・ソフトなんか存在するのかなあ。
日本で入手可能なのかなあ(可能だとして字幕はないから観てわかるとは思えませんが)。
中でも「アマデウス」のサリエリ役はどうしても観たい!
これは字幕なくても観たい(あればなお良い)。
イギリス版アマゾンか何かからソフト手に入れられるのかな?
これはもう観るしかない
テレビで見ていた、スーシェの吹き替えをなさっていた熊倉一雄さんのポワロ好きだった!
馴染みもとてもありますしね!
それも観たいしスーシェの声でも見てみたい!
どんな声、どんな喋り方か見てみたい、
そして英語で聴くクリスティの世界というのはどんなものか感じてみたいな。
それを言うと原作も原文で読んでみたい・・・・すみません、クリスティファンなもので。
昔はクイーンの方により惹かれていたこともありますが、
二年ほど前にクリスティを読み返し始めてすっかりハマってしまったのです。
あんな精密な小説、なかなかない。
少し話がそれましたが・・・
装丁含め豊富な内容、テレビシリーズの、スーシェのポワロのファンの方にはおすすめの一冊です。
本棚にあること自体が嬉しくなっちゃう本です。
そして、あの作品群がどんなに力を込めて、誠実に作られたものか、知ってより好きになりますよ。
きっと。
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