「ホラホラこれが僕の骨」 中原中也ベスト詩集

2020年12月6日

 

確かSNSでだったと思うのですが、中原中也の詩集が最近また(2017年)出版されていると知りました。中也の詩集はずっとほしいと思っていたところです。しかもこの詩集は、「モノ」としてもこだわった美しいものであるとのこと。うーん、これぞ「本」。

早速一冊購入致しました。本当に、そっと光りを映す石のような佇まいの本でした。

 

「モノ」としてのよさ

「お気に入りの詩集がほしいあなたに」

「詩を読むだけならWEBで読めますが、詩集はやっぱり「モノ」として手元に置きたいですよね。この本は、見た目や触感など、「モノ」としてのよさを追求してみました。特に断面にご注目ください!」

 

という紹介文にすっかり心を掴まれてしまっていたのですが、実際に手元に来て、あ、本当にステキな本だ、と、とても嬉しく思いました。

 

静かで美しい専用サイト

 

 

 

この本には専用のサイトが設けられていて、実はそちらを訪問していただければ、ご紹介したいことはすべてわかっていただけるんじゃないかと思います(笑)。

 

ホラホラ、これが僕の骨 中原中也ベスト詩集

 

大変美しい、雰囲気のあるサイトです。
どことなく、山口市の湯田温泉に建つ、「中原中也記念館」にその佇まいが似ているようです。

サイトには、本書の紹介とともに、中原中也についての簡単な案内、読者の感想などが掲載されています。

「詩集の目次」から、この本に掲載されている詩ひとつひとつのページに行くこともできます。
一ページごとに、中也の詩一篇、その詩の朗読、その詩の解説、その詩についての読者の感想がひとまとまりに載っています。そのまま、自分の感想をそこに書き込む(投稿する)こともできます。

作品ごとに解説や感想が一緒に読めるのが、わたしはいいな、と思いました。
より深くその作品と接することができるようです。

このサイトに行けばまさに「詩を読むだけならWEBで読めます」なのですが、サイトを訪問すれば、「WEBで読」んでおしまいではなく、やはりこの詩集を『「モノ」として手元に置」きたい!と思ってしまいそうです。わたしはそうでした。

とても印象深いサイトなので、本の購入後も時々訪れて、詩そのものやこの本の世界を楽しんでいます。

 

手元に置きたい詩集

 

 

「モノとして持っていたい」詩集としての本書について、製作なさった方の記事へのリンクが、先程のサイトにも貼ってあります。

 

デザイナーによる製作裏話

製本方法のご紹介(篠原紙工ウェブサイト)

 

これらを読むと、この本が、フォント、使用文字、内容、紙そのもの、そのほかそのほか、内(内容)にも外(ものとしての本)にもとても手がかかっている、大切に「ものつくり」された一冊だということがわかります。

記事にも書かれているように、この本の三方はギザギザで、紙はやわらかく、少し厚手です。本を手に持つとふんわりとしていて、軽い持ち心地なのに重みはあります。

 

本書で使われているPUR製本という手法は、背が柔らかく、しかもとても丈夫です。思い切りページを開いても、背が割れて本が壊れてしまうようなことはありません。ぜひ、お気に入りの詩のページを開いて、部屋に置いてみてください。生活のなかのさまざまな気持ちと、中也の言葉がむすびつく瞬間があったら、これほどのよろこびはありません。(「ホラホラ、これが僕の骨」サイトより)

 

を実践したいので、近々部屋置き用にもう一冊買うつもりです。
一日一作、中也の詩と共に暮す生活っていいな、と思います。

それをキメるには、部屋をもう少し、きれいに片付けなくてはいけないんですが・・・。

 

 

中也と中原中也記念館についてちょっと

 

 

 

 

中原中也の名前は、やはり有名な部類に入るでしょう。それほど詩や本を読む習慣のない方でも、中也の名前はご存知なのではないでしょうか。
また、中也の作品の一部分だけやひとことだけ、もしくは題名だけなどは、中也の名前と同じく、広く知られているようだと思います。

引用される機会が多いってことなのかな。そしてやはり印象に残りやすい何かがあるのでしょうか。

中原中也は明治40年生まれ、大正期から戦前にかけてを生きた詩人、翻訳家です。中也や彼を取り巻く人々、彼の居た環境、当時の文化や芸術運動(活動)など、調べれば調べるほど面白いものです。

中原中也記念館は、生地である山口県山口市の湯田温泉に建っています。わたくしごとですが、それは美しいこの小さな建物が大好きで、年に二回、必ず立ち寄っています。

 

 

 

建築としてもすぐれたこの建物の、特に気に入っているのは、一階から二階へのぼる階段の踊り場で、そこにふと立つと、あ、芸術がここにある、というような気持ちになります。
また、二階の展示室から一階へ降りる階段の正面に、中也最後の詩「四行詩」があるのを初めて見た時の、はっとした気持ちはずっと忘れることができません。

湯田温泉は泉質もよく、おすすめです。もしお泊りならできれば「源泉かけ流し」のお宿をどうぞ。ここだけの話ですが、同じ温泉街でもやはりお宿によって、お湯が違います。宿のお値段とお湯の質は必ずしも一致しません。
お急ぎでしたら、中也記念館のお向かいの、「狐の足あと」でちょっとお洒落な足湯をおすすめします。こちらもとても気持ちのいいお湯で、居心地も良いところですので。

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