「フランス人がときめいた日本の美術館」

2020年12月6日

 

美術が好きですが、もしかするとそれよりもっと「美術館」というものが好きなようです。
ですのでこの本が出た時には(話題になったと記憶しています)、これは是非買わなくてはと思いました。

フランス人のソフィー・リチャードさんが、日本を訪れる外国の方々のために書いた、日本の美術館の紹介書です。もとは英文のガイドブックでしたが、それが日本語に翻訳されたのが本書です。

著者のソフィーさんは美術史家。専門家による美術館案内ですから、当然のように内容の濃い、心から楽しめる(そして刺激的で実用的な)一冊でした。

 
 

The Art Lover’s Guide to Japanese Museums

 

 

 

もとになった英文のガイドブックを探してみると、このような本でした。

The Art Lover’s Guide to Japanese Museums

この紹介ページによると、使われている写真などは、日本版と同じもののようですね。レイアウトは若干違うのかな。
こちらの本も欲しいなあと思っています。

美術館めぐりが大好きなソフィーさんは、日本を訪れて、この国の美術館が、そのジャンルにおいてもコンセプトにおいてもそして数においても実に豊富であることを見つけます。「最高ランク」の国立美術館に始まり、けして大きくはない、もしくは有名とは言えないかも知れないユニークな小さな美術館に至るまでが、実にさまざまなテーマを掲げ、美しい建築物や環境の中で、良質な展示を行っている。

しかし、大規模な美術館でない限りは、作品および美術館そのものに関する情報や説明が、特に英語でとなるとあまりにも少ない。そう思ったソフィーさんは、自身の手で、英語のガイドブックを作ることにします。それがこの「The Art Lover’s Guide to Japanese Museums」でした。
 

 

読んでいる間は完全に旅してました

 

 

この本を読んでいる時間は、頭の中ですっかり「旅」をしている時間でした。全く、そこを訪れている気分になっていました。

50ほどの美術館が、美しい写真と、美術の専門家ならではの詳細な記事で、魅力的に紹介されています。展示物や創作者、また、美術史や日本史に関する記述も豊かなので、その点でも知識がつきますし、興味も大変そそられます。

各項では、必ずと言っていいほど、美術館の建物そのものや建築家について詳しく(いちばんに!)書かれているにのも「ときめき」ました。個人的に、「建築」が大好きなので・・・。

美術館をとりまく環境がすばらしい、と紹介されている箇所を読めば、ああ行ってみたいなあと思います。この本に載っている美術館は、総なめしたいと、ほとんど本気で思い始めています。旅心を刺激する、本でもあります。

日本を訪れる外国からの観光客のために書かれたせいか、ソフィーさんの行動範囲のためなのか、扱われている美術館はやはり、東京やその周辺に建つものの比重が高くなっています。京都の項が次に多く、東日本と西日本に分けて、地方の美術館も若干紹介されています。

直島、豊島、犬島。うーん行きたいなあ。
 

 

美術館めぐりというたのしみ

 


 

美術館案内の本は最近続々と出ている・・・印象でしたが、書店に行くと案外そう多くはなかったのでした。たまたまその書店がそうだったのか、印象だけなのか。

今読みたいと思っているのが

美術館へ行こう-ときどきおやつ-

カフェのある美術館

の二冊です。

もっとたくさんこんな本が出るといいな。
地方の美術館をいっぱい扱った本なんて出ないのでしょうか。

実はこの「フランス人がときめいた日本の美術館」は、購入するのも遅かったのですが、長いこと積読にしていた本でした。
楽しみにしすぎてというか、読むのに相当の時間とパワーを要するのがわかっていたので・・・。

好きで買った本に限ってついそんなことにしてしまいます。もっとなんでも気楽に読むべきなのかなあ。

とはいえ、時間をかけ(かかり)、全身で「旅」を楽しんだこの本でした。
堪能しました。

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